一言メッセージ

高校生100人に1人が理学療法士となる時代のなかで自分の進む道を見つけてください。

 

経歴

2007年:藤田保健衛生大学リハビリテーション専門学校 理学療法科 卒業

2010年:日本福祉大学通信教育部 福祉経営学部 卒業

2012年:藤田保健衛生大学大学院 保健学研究科 卒業

 

職歴

2007年:医療法人松徳会花の丘病院 リハビリテーション科 理学療法士

2013年:Phrapradaeng Home for Disabled People 理学療法士(青年海外協力隊)

 

受賞歴

2011年:藤田リハビリテーション関連施設臨床研究会 優秀発表賞

2013年:第24回「理学療法ジャーナル賞」奨励賞

 

その他

SIGNALリハビリ勉強会 運営スタッフ(国際部担当) 

「途上国にリハビリ道具を届けませんか?」プロジェクト代表  

AnatomyPhysiotherapyFacebookA translator on Tuesday in japanese page

日本理学療法士協会HP 国際コラム担当

開発途上国リハビリレポーター 副代表

 

1.セラピストとして働いていて良かったことは?

  人生の中のたった数ヶ月の出会いで、それ以降の患者さんの人生が左右するので、その責任感とやりがいは、理学療法士になって良かったと思えるところです。新人の頃、初めて担当させていただいた在宅復帰を目指す脳血管障害の患者さんと退院時に「歩数計を使って毎日7000歩を目標に歩く」と約束をしました。5年が過ぎ、花見をしていると、なんとばったりその患者さんに会いました。「先生、今10000歩は毎日歩いているよ!」と満面の笑みで肩をぐるんぐるん回してみせてくれた時は、とても感動をし、またこの仕事を選んで本当に良かったと思いました。

 

2.逆にデメリットは?

  現在、理学療法士は全国で100,000人を超えました。20年前の10倍、40年前の100倍です。第1回国家試験が1966年なので、およそ50年での大台突破です。昨今では1年間に7,000~10,000人の理学療法士が誕生しています。高校生の1学年がおよそ1,000,000人なので大げさに言えば、高校生の100人に1人は理学療法士となる計算です。

 デメリットを述べると、理学療法士としての就職先を見つけることが年々難しくなってきていることかもしれません。対策方法はいくつかありますが、単純に考えると理学療法士は供給過多になりつつあるからです。また2012年のデータでみても理学療法士が1~3人職場の少人数施設の比率が72.2%と高い値を示しており、指導する理学療法士が不足していることが分かります。卒前教育よりも卒後教育の方が相対的に占める割合も長く重要なはずが、なかなか上司から指導をもらえない、また上司が若すぎるといった問題も挙げられます。他の会社と違い、若い集団ですので職場で役職を与えられるタイミングも早い時期となることが多いです。私自身は成長出来る大チャンスと思いましたが、多くの療法士は、「まだ私に後輩指導なんて無理だ」と精神的にもストレスを抱えてしまうケースが増えてきているように思います。

 給料面でみても平均年収は400万前後です。診療報酬からみてもこれから大きく改善されるとは思えません。養成校時代の高い学費を考えれば、割に合わないと思っている人も多いようで、休日に他の病院・施設で非常勤としてアルバイトをしている理学療法士も多いです。

 

3.ワーク・ライフバランスはどうしている?

  お恥ずかしい話しですが、私はつい数年まで仕事と家庭の両立は無理だと考えていました(ちなみにまだ独身)。仕事に全力で打ち込むには、何かを犠牲にするしかないと考えていたからです。しかし私の尊敬する先生方は皆さん家庭を持ち、なおかつ仕事もバリバリされている人達ばかりだったのです。結局、私は逃げていただけだと気付きました。そう思ってからはONOFFの切り替えを考えるようになり、ダラダラ仕事をすることはなくなりました。身体は資本ですから休日には登山やフットサルなどアクティブに身体を動かして体力向上に努めていますし、1年に1回は海外旅行に行くことを目標にしています。 日本の病院だとなかなか有給休暇が取りにくいかと思います。どんな企業でも一番使えない社員というのは、よく休む、平気で休む、突然休む、休み上手の社員です。だから休まない社員はますます休まない、休むことは負けること、""であるとまで思っていますから、仮に熱を出しても休んだ罪悪感が病気よりも重くなることもあります。「旅行に行くので有休を下さい」と言った時、「日頃、頑張っているからどうぞ行ってらっしゃい」と思ってもらえるように、"休む人"ではなくて"休める人""許される人"にならなければいけないと感じています。今、私はタイで生活していますが、タイ人はONOFFの切り替えが非常に上手で、余暇活動を皆さんとても楽しんでいるようです(タイ人はOFF時間を占める割合が相対的に大きすぎる気がしていますが・・・)。

 

4.現在の働く場所(海外)を選んだ理由は?

 現在、私は青年海外協力隊としてタイにあるプラプラデーン障害者ホームで働いています。元々、海外で働くことに興味があったわけではありません。働きだしてから途上国のリハビリテーションについてのお話しを伺う機会があり、その当時世界の77カ国は理学療法士1,000人以下で100人以下の国も多いこと、リハビリテーションの養成校すらない国があるという事実を知ったのがきっかけで、自分の目で一度確かめに行きたいと思うようになりました。

 昨今、グローバル人材の育成が語られる中、語学力はもちろんですが、問題解決能力なども非常に重要であるとされています。現地の文化を尊重し、日本のように人・物・お金のない環境の中で生活することは多くの問題に直面する反面、考える力が身に付くのではないかと考えていました。また、卒前教育で国外のリハビリテーションについて学ぶことは少ないですが、国際看護学、国際栄養学のように、いつか国際リハビリテーション学という分野が卒前教育の中で組み込まれることを信じて勉強しております。

 

5.今までのキャリアにおいてオススメなところは?

 前院(医療法人松徳会花の丘病院)では、「臨床・研究・教育」の3分野を学べる環境にいました。早い段階でこの3分野を勉強させていただけたことは自分にとっては大きかったと思います。リハビリテーション領域の臨床・研究・教育の理想の比率は4:3.5:2.5と言われていますが現実は6:2:2と報告されています。特に研究は時間がない、利益がない、研究機器がないなどの理由から敬遠されています。しかし考えてみると、現在のリハビリテーションが成り立っているのは、先人達の研究成果のおかげであり、私達も未来のリハビリテーションのために研究に取り組んでいかなければいけません。 また、大学や大学院進学も含めて、リハビリテーション以外について学んだことも、理学療法士としての職域の視野を広げることができたので良かったと思います。海外挑戦もお勧めします。皆さんの周りに「海外に行って後悔した」なんて言う方はいますか?

 

6.苦労したことは?

 日本にいる理学療法士はおよそ50%30歳以下と若い集団です。若さゆえのメリットもデメリットもあると思います。昨今、特に日本の医療現場では「多職種連携」とう言葉を良く耳にします。患者さんはリハビリだけ頑張ってもなかなか良くなりません。1日の生活の中でリハビリ以外のことをしている時間のほうが圧倒的に長いわけですから、私達は自宅や病室での生活に関連する職種、例えば医師、看護師、介護士、ケアマネージャー、ソーシャルワーカーなどと密にコミュニケーションをとり情報共有しなくてはいけません。しかし相手は社会人としても大先輩の方達で、なかなか20代前半の若者の話しには耳を傾けてはもらえず、新人の頃は患者さんのことで意見が食い違い、喧嘩したこともありました。まずは他の職種の仕事の役割や価値観を理解することがとても大切だと思います。この仕事は、人を相手にする仕事ですのでコミュニケーションスキルは絶対に必要です。体育会系の学生やアルバイトをたくさん経験した学生が就職に有利とまで言われていますので、学生時代に様々な経験をすることをお勧めします。

 

7.学生に向けたメッセージ

  Howard A. Rusk先生のお言葉をかりますと、「Not only to add years to life, but also to add life to years.リハビリテーションとは人生に年月(物理的時間)を継ぎ足すだけでなく、 (延長された)年月に生命をつぎこむことである

 未来を変えるのは学生である皆さんです。